
ポール・ヘンリー
キラーニー、ケリー県 制作年不詳
アイルランドの風景画家、ポール・ヘンリーの『キラーニー、ケリー県』。キラーニーとは、アイルランドの南西部にある自然豊かな観光都市で、ヘンリーはアイルランドの力強くも穏やかな風景を描いた。
時代的には、19世紀後半に生まれ、20世紀半ばに亡くなっている。当初は、ロンドンでイラストレーターをしていた(イラストっぽさがなく、一体どんなイラストを描いていたんだろうとそっちも気になる)ものの、アイルランド西部のアキル島を訪れたことをきっかけに、画家に転向したそうだ。
僕自身が、山の多い地域で生まれ育ったということもあるだろうし、あるいは、もっと普遍的な感覚なのかもしれない。僕にとっては縁もゆかりもない、彼の描く遠い場所の静かな山々や水辺の風景画に、どことなく懐かしさを覚える。
また、絵からは、なにも語らずに、不動の存在感を見せる、そんな山の崇高ささえも伝わってくる。
その他にも、彼の風景画の特徴として、山や水辺に勝るとも劣らない存在感を発揮する雲がよく描かれている。
水面と、山と、雲という三層の世界が美しく共存している。
