モンドリアンの儚い花の絵画

ピート・モンドリアン
Stalk with Two Japanese Lilies 1921年

抽象画の画家が具象に留めている、その抑制感が好きなのかもしれないなと思う。泣き出しそうで泣かないときの雰囲気に胸打たれるものがあるような感覚と似ている。これはカンディンスキーの風景画を見たときに思ったことでもあるし、抽象画ではないものの、ゴッホの花の絵画でも思う。

ゴッホが感情そのままに、色や風景を描いているものとは別に、彼の描く花の絵の“今にも溢れそうな”緊張感と可憐さが絶妙に美しく思う。

そんな不思議と惹かれる抽象画家の具象画の一つに、モンドリアンの花もある。

ピート・モンドリアンは、1872年生まれのオランダ出身の画家で、抽象画の代表的な画家として知られる。特に三原色によるコンポジションのシリーズが有名で、色や線などで構成された“純粋な絵画”を目指した。

ピート・モンドリアン
赤・青・黄のコンポジション 1930年

もともとは印象派的な風景画を描き、キュビスムの影響も受けながらだんだんと写実性を離れ、やがて、モンドリアンを象徴するようなコンポジション的抽象画に辿り着く。

そのちょうど移行期、過渡期の頃に、モンドリアンは花の絵も数多く残している。これは誰の絵か、と訊かれてもわからないくらい、モンドリアンで連想する絵画とはかけ離れた、幻想的で繊細な花だなと思う。どうやらお金に困っていたときに描いた絵のようだ。

モンドリアンの絵だと知って余計に美しいと感じるのかもしれないけれど、でも、その絵の一枚一枚が、なんとなく抽象度の高い、ある種の比喩のような掴み難さの魅力があるような気がする。