印象派の画家クロード・モネは、戸外で描き、光と瞬間を捉えようとした絵画で知られる。
他の印象派の画家は、あまり雪景色を描いていないものの、モネは寒々しい雪の風景も数多く残している。雪景色は、初期の頃からずっと描いているようだ。
なぜ印象派の画家がそれほど雪を描いていないのかは、よく分からない。シスレーやピサロにも雪の絵画はあるものの、ほとんど見ないような気がする。
水辺や自然、都市などの彩り豊かな光に溢れた光景ではないからか。あるいは当時の西洋世界にとって、雪は「病んだ自然」としてモチーフになりづらかったという話もあり、そういった背景が原因なのかもしれない。
だとしたら、モネだけは、雪に備わった意味合いよりも、光景そのものに惹かれたのだろうか。確かに、雪には雪そのものの美しさもある。
モネの雪景色には、フランスのセーヌ川沿いの街でモネが妻と息子と一時期住んでいたアルジャントゥイユなどもあり、浮世絵や新版画で見られるような、しんしんと雪の降っている光景というより、雪景色のなかに見られる光や幻想性のようなものを印象派的な画風で繊細に描写している。
また、雪のなかを歩いている人の姿や民家などもあり、その土地土地の冬の生活感も垣間見えるように思う。

クロード・モネ
かささぎ 1868 – 1869

クロード・モネ
雪のアルジャントゥイユ 1875年

クロード・モネ
アルジャントゥイユの雪景色 1875年

クロード・モネ
雪に覆われたラヴァクール 1878 – 81年

クロード・モネ
Snow Effect, Giverny 1892 -1893年
