
クロード・モネ
かささぎ 1868 – 69年
この絵は、クロード・モネによる、印象派としての初期の作品とも言われる『かささぎ』。この頃はまだ、公式には「印象派」自体は存在していなかった(数年後に最初の展覧会が開かれる)ものの、その特徴から、印象派の最初期の作品とも指摘される。
フランス北部にあるエトルタで描かれた。ここは夏には避暑地として有名な地域のようだ。この頃、モネはこの地に妻と息子と滞在していた。
白い雪の世界に、ぽつんと一羽の黒いかささぎが門に止まって休んでいる。一瞬、「かささぎを探せ」が始まったかのように思うほど、さりげない。
たっぷりと余白があり、それゆえに、一度意識したら、むしろこのかささぎの存在感が強まるようにも感じられる(雪面にはかささぎの影も慎ましやかに描かれている)。
かささぎは、白の世界のなかの黒として孤高の象徴といった様子というよりは、どこか飄々としているようにも思える。ふんわりとした雪を、柔らかな光が包み、温もりがあるからかもしれない。
あるいは、弱々しく、儚げにも見える。もしかしたら、自分の精神を写す鏡のように、このかささぎの捉え方もその都度変わるのかもしれないなとも思う。
光の雰囲気から察するに朝方だろうか、絵全体としては、空気に漂っている静寂が、心に落ち着きをもたらしてくれるような気がする。
ちなみに、当時の西洋世界では、雪は自然のなかでも病んだものとしてモチーフにすることが避けられる傾向があり、また光や色彩を重んじる印象派の画家にとっても、モネ以外ではあまり描かれることがなかったようだ。
