haruka nakamuraの写真集

haruka nakamura
音楽のある風景 2024年

音楽家のharuka nakamuraさんの撮った風景が纏められた写真集。harukaさんの作品は、音楽が好きなのはもちろんのこと、写真を通して見る風景に曲と同じような心地よさを覚える。

この心地よさは、ほんの少し「懐かしさ」とも似ている。写真そのものは、記憶と照らし合わせれば知らない風景ばかりで、なぜ「懐かしさ」を覚えるのかは分からない。ただ、懐かしさは、頭によって記憶の箱から取り出してきたものだけでなく、より深く、感覚としての懐かしさがあるような気がする。harukaさんの写真を通して発露される懐かしさも、その感覚のように思う。

写真集のタイトルになっている『音楽のある風景』は、同名の曲もあり、風景と音楽、という結びつきは、harukaさん自身にとって、作曲の際の根幹になっているようだ(この曲は、MVも、harukaさんが撮影、編集している)。ある風景から、音楽が聴こえてくる。その音楽を、濾過することなく鍵盤に落とし─とharukaさんは言う─、奏でること。風景から聴こえる音楽を、音楽にすること。音楽のある風景を探す旅のなかで、巡り合った風景。

その視点によって拾い集められた写真ゆえに、写真家さんの撮る写真集とはまた違った感覚で見ることができるのかもしれない。