ジョルジュ・スーラ──新印象派の画家

ジョルジュ・スーラは、フランスの新印象派の画家。印象派の影響を受けながら、独自の画風を確立していった画家たちが、ポスト印象派や新印象派という名称で括られる。ポスト印象派の画家に、ゴッホやゴーギャン、セザンヌなどが挙げられ、新印象派に、このスーラや、弟子のシニャックが挙げられる。

新印象派の特徴として、印象派が行っていた光を表現する技法をより発展させた、原色を小さな点で配置するように描く「点描法」と呼ばれる画法がある。作品からは、点描、という名前にふさわしい雰囲気が伝わってくる。スーラにとっては、あくまで光を合理的に表現するための技法だったのかもしれないものの、同時に、まるで砂のように現実の世界が消えていってしまうような、儚さも醸し出されているようにも見える。本当にこんな世界があったんだろうかと思わせる、記憶なのか、幻想なのか、そういった不思議なあやふやさが魅力に繋がっているように感じられる。

作品は、水辺などの風景画が多く見られる。スーラの代表作としては、かつて開かれた最後の印象派展の出品作、セーヌ川の人々を描いた『グランド・ジャット島の日曜日の午後』が挙げられる。また、個人的に好きな作品では、セーヌ川沿いを、犬の散歩をして歩く一人の貴婦人らしき女性が描かれた、『セーヌ川、クールブヴォワにて』がある。スーラの絵は、人が少なく、しかし自然だけでなく人工物もあるといっそう、風が吹いてさらさらと消えていきそうな儚さが引き立つように思う。

ジョルジュ・スーラ
グランド・ジャット島の日曜日の午後 1884 – 1886年

画家は、詩人と比べると長生きのイメージがあり、印象派に関連する画家で言えば、モネやルノワール、ドガなどは80歳くらいまで生きているし、若くして亡くなった画家では37歳で自殺したゴッホもいるものの、スーラは、さらに若く、31歳で病死している。そんなスーラの夭折の生涯も、自分のなかの儚さの印象と繋がっているのかもしれない。